白みかん

白みかんは、おいしいみかん。みかんを剥くのがうまいよ。

なぜか…

2月の祝日だった。
なぜかその祝日は木曜日だった。

俺は携帯を手にとって、後輩の一人に会う約束を取り付けた。
なぜか…は、よく分からなかった。

2021年2月11日。

昨日会社でやり残した仕事を完遂し行動に移そうとした俺だったが、結局その成果を出すことができずに終わる。

胸の奥に「無能」の二文字が突き刺さったが、時間もないのでそそくさと準備を始めた。きっと、もっと頭が回転すればこんなことにはならない。

その日も晴れていた。
ブカブカの服を着れば、もう寒さも感じなかった。

いまだに、東京に来てからというもの、何回も何回も新幹線に乗ってきたのだが
いまだに、俺は長距離移動の時間を計算するのが不得手であった。
この日も同様に俺は、新幹線を一本逃してしまい、店の予約時間を変更せざるをえなかった。

この時活躍したのがイヤホンである。
この前購入した、それはそれは高いワイヤレスイヤホンは新幹線の中の
轟音もうまく具合にかき消して通話を成立させてくれたのだ。
ありがとう、新しい相棒。

そして、俺は歩いた。
予約した店は駅からだと結構遠かった。
そして、俺は待った。
結局、遅刻したのに待つんかいと、俺は自分自身に突っ込みを入れた。
もちろん、ずらした時刻の結果であって、待ち合わせの相手は悪くないのである。

その日会ったのは、4回生のときに半年くらい活動をともにした後輩だった。
彼女とのかかわりは、結構うすい。

最近、人とろくにコミュニケーションをとっていないため
初めのほうは…、というか終始、俺はどういうふうに会話をすればいいのか分からなかった。

人と人は、こんなにも会話が難しいものだっただろうか…。
難しい…、難しいのである…。
思えば大学の頃の時代は、これでも1対1で人と会うことは珍しいことではなかった気がする。

また、外食になってしまうのだが、これも面倒であった。
感染症対策ほど面倒なものはないというくらい、面倒であった。
生きているだけで体にまとわりついてくる面倒くささが
具現化して現れたようなものである。

彼女とは、特別な話はしなかった。
これからどうするの~とか、大学4年間はあっという間だったね~
などという話をしたのだった。

最後に、彼女が4年間打ち込んできた活動の動画を見て別れた。
ステラおばさんのクッキーをもらった。

ステラおばさんではなくクレアおばさんが一番に出てきた俺は
クレアおばさんの存在を繰り返し主張したが
なかなか伝わらなかった。

しかも、現在、ステラおばさんは変換で簡単に入力できるのに
クレアおばさんは全く変換できない。
クレアおばさん知名度はあんまり高くないようである。

結婚願望がなさそうと言われたことを、今思い出した。
結婚願望はある。
というか俺には家庭願望があるだけなのかもしれない。

その翌日の予定がなかったため、俺はその会話から
少しだけ勇気を出して連絡をしてみた。
結果、うまくいかなかった。

人生の難易度は低くない。

あと行きの新幹線は空いていたくせに
帰りの新幹線は混み始めているのである。
これには驚きを隠せないのだった。