白みかん

白みかんは、おいしいみかん。みかんを剥くのがうまいよ。

不動産と、そして1Kにロフトベッドを置くこと

今週のお題「間取り」

薄刃包丁が西瓜にぐっさりの写真

 

季節は春。
引っ越しするときにやはり春だ。

俺はその日、不動産にいた。
不動産にいたのは俺だけではなかったのだが、まあうんうん言っているだけで俺は全く役に立たなかった。
あ~、俺はうんうん言っているだけだからいつも騙されるんだろうななんて振り返って思う。
間取りは図面で見ただけでは分からない。
間取りはやはり、実際に内見して初めて分かるのである。

ちなみに内見って変換で出てきづらい気がするのは、何か理由があるのだろうか。
やはりこれに関しても、分からなかった。

変な間取りではない。
俺は社会人はすべて持ち家を持っていると思い込んでいたのだが、実際のところ社会人は新卒の1K出発ばかりである。
なおさら東京に住んでいると家賃が高く、さらに更新料などという、謎のローカルルールで金をむしっていく。
既得権益を放棄することのほうが格好いいけれど、なかなか人間にそんなことはできないのである。

1Kでずっと生活を続けてきた。
見上げれば、すぐそこに天井。
常に電気の光は俺に降り注がない。
そうそれはロフトベッド。

俺の頭上にいつも存在しているのは神様ではなくロフトベッドであるらしい。
それが1Kの部屋に、しかもセミダブルサイズで存在しているのだから驚きである。

「1Kの部屋にベッドなんか置いたら足の踏み場がなくなるよ!」

誰かが言った。
いや…、ロフトベッドを置いたら行動する余地がなくなってしまったのだが…。
むしろ計測もせず、よくこの部屋に入ったものである。

俺は1Kの部屋で一人静かに、こそこそとロフトベッドを解体した。
金属と金属がぶつかる大きな音がした。

解体した支柱がゆっくりと床に倒れていったのだ。
それを止めることは、首の痛みを抑えている俺にはできなかった。

激突したもろもろがさらに大きな音を立てていくのを俺はただじっと見ていた。
さすがに苦情が来るかと思ったけれど、誰もこなかった。

もしかしたら、俺の隣にはもうだれも住んでいないのかもしれない。
そして俺の左の部屋はない。
俺は究極的に孤立した場所に住んでいるのかもしれない。

そう思った。

とにかく間取りうんぬんよりも、システムキッチンとか格好つけながら
まな板を置く隙間もないようなキッチンはやめてほしい。
それをただ憎むばかりである。