人生は下り坂だ。
そのくだりは決していい意味では語られない。
俺はまさに急転落下どこから自由落下のさなかにある。
地面への衝突までおよそ何秒という最中、俺は何かを見ていた。
謝りたい人間がいる
心からの謝罪を、心ないままに。
どれだけ語ろうとしても絶対にその思いはそのまま伝わることはなく
そのまま伝わればそれはそれでさらなる攻撃になりかねない
かなり悲しい世の中の、摂理を感じた。
2024年5月25日土曜日。
俺は謝った。
2年越しにわたる謝罪は
夏の日を目前にした勢いのある太陽が
その役割を終えて西日になってから消えるまで
いくつかの言葉を交えながら行われた。
「申し訳ありませんでした」の一言を、あなたに。
謝罪すればいいというものではない。
それでも俺は何かを認めたくなかった。
罪のある自分を認めなかった。
やったことは消えない。
間違いも消えないのだ。
謝罪は、そういう意味ではパフォーマンスに過ぎない。
俺が俺のためにまたしても俺のためにパフォーマンスをするという
それはなんとあさましいことなのか。
俺はこのパフォーマンスをしたいけれど
それでもできないでいる。
大切な存在のいない人生は色彩のかけた虹のようにぼんやりとしていた。