同期社員。
転職した人というのは社会人1年目、つまり初めて自分が社会人になったときの同期とは
もう全く別の職場、環境で働いているということになる。
自分ももうすぐそうなる。
愛する同期を捨てて、また、新しい場所へと旅たつことになるのだ。
愛する同期…とは、自分たち18卒の同期たちのLINEグループの名前である。
愛する同期と言っても、自分たちの間にキズナはほとんどなかった。
同期会が開催されたのは3回。
1回目は初めて研修合宿を終えたとき(だったか?違う気もする)
2回目は研修期間を終えて配属を控えているとき
3回目は配属されてしばらくたってからである。
そして、開催されるたびに参加する人数は減っていった。
どんどん、減っていったのだった。
最後に企画された4回目のときは、開催そのものが当日、なんとなくでなくなってしまった。
何の連絡もなくなくなったそれのために、それがあると思い込んでいた俺は
日中、ずっと街を歩いて時間をつぶしていたのだった。
俺たちにキズナはあるのか。
俺たちにお互いを思いあう、心はあるのか。
きっと、そんなものはないのかもしれない。
高校や中学のクラスみたいに、それでも愛する同期たちにはキャラクターがあった。
決して人間が希薄なわけではなかった。
同期のSは、いわゆるクラスの中心人物で、飲み会は彼が幹事を務めることが常だった。
クラスの中心人物が諦めざるをえないような状況になってしまったのは、ひとえにキャラクターが強すぎたからだろうか。
あるものは痴情のもつれを起こし
あるものはなんとなく気が合わなさそうだという。
あるものは同期には「島」があるといい
あるものは休職する。
みんなが散り散りになっていった。
そこで俺はそれをただ眺めていた。
みんなをつなげるでもなく、みんなを糾弾するでもなかった。
愛する同期…。
ここでは俺はリーダーでもなく、中心人物でもない。
ただ一員として、メンバーとして、この愛する同期の行く末を見守るのだった。