以前も似たようなことを書いた気がする。
それを書いたのはここだったのだろうか、それとも別のどこかなのだろうか…。
世の中、いい意味の変人と悪い意味の変人があると思っている。
キャラクターが強い人をいわゆる変人ともいうが、正直空気が読めない、うっとおしい人も、これまた変人という。
変人を自称する人もいる。
いい意味の変人というのは、この世界における強烈な自我を持った、俺にとっては主人公的な存在だった。
ほとんどの奴が死んでいるように見えている中、彼らの存在だけがプレイされているキャラクターであり、本物だった。
そして、後輩の一人にそういう人がいた。
出会ったのは、俺が4年生の春で、彼女は1年生だった。
俺には先見の明みたいなものはない。
だけれど、彼女の言動や考え方は目を引かれるものがあった。
そうして卒業するころには、なんとなく一方的な思いを抱いていた。
本物である彼女の活躍を、躍進をもっと見ていたいと思った。
一度だけ、その辺のファミリーレストランでカレーを食べたことがある。
彼女は「あなたは自分と似ているから」と言った。
その時、自分は本物たちにあこがれる偽物だと感じた。
彼女たちは、自分を持っていると思う。
持っているように見える。
本物の人たちは突き進む。
そして、周りを動かし、周りを動かしていく。
運や人が彼らの周りには廻り、地を這っているような俺には、まるで宙を歩いているような別次元の生き物のように感じた。
メディアで活躍しているような半フィクションのような存在よりも、袖振り合ったような彼女の存在のほうが俺には重かった。
見知らぬ土地、見知らぬ暮らし、見知らぬ仕事。
なにもかも変わった場所へ来て、恋人や友達や、ほとんどのものを自分はなくしたけれど、彼女とはぎりぎりのところでまだ連絡を保っていた。
彼女のことをいつまで俺は見ていられるだろうか。
いつか彼女のピンチに助力してあげられるような、そんな人になって、かつての先輩として存在していたくなった。
偽物だって、そういう現れ方なら格好いい。