この記事は別に自分に女装癖があるとか、LGBTQ的なものでもない。
化粧をしているときもあったが、あれも別にクリームが塗りたくられているだけで言うほど化粧でもないと思う。
女になった自分。
いわゆる妄想の中で、自分が女になったら、どんな人物なんだろうかなどと思うことはあるだろうか。
ほんの一瞬前、なんか撮影した写真の男性を女性の見た目に入れ替えたり、男性の見た目を女性に入れ替えたりするアプリが流行っていた。
ユーザーの印象として、女性が男性になっているものよりも、男性が女性になっているものが、多かった印象だ。
ところで自分はどうかというと、あんまりない。
そんな妄想をしたことはあんまりなかったのだ。
女性になった自分というのをあんまり上手く想像できなかったし
大抵そういう妄想の場合は、自分がいい感じにデフォルメされて、かわいくなって…
という見た目を意識したものが多いと思うのだが、自分の見た目をどういじくりまわしてもかわいい女の子像に(特に自分の価値基準の中では)なるような気がしなかった。
だから、内面的な話なのだけれど、自分は会ったことがある。
女性になった自分のような存在に。
その女性は自己嫌悪が強い俺の、自己嫌悪されたイメージが反転したような女性だった。
嫉妬やプライド、自分にとって利用できる人間は利用するところもそう。
また、中途半端な能力までしか持ち合わせてないところや、複雑な家庭環境を持っているところもそうだった。
そしておまけに、自分の周囲の出来事に物語性を付与して、独自の世界を築き上げているという最悪な点まで持ち合わせていたのだ。
俺とその女性が出会ってしまったのは、運の尽きみたいなものだった。
俺とその女生との相性は最悪だった。
まさに出会ってはいけない人だったといえるだろう。
出会ってしまった結果、自分の尻尾を食った蛇みたいに、お互いに食い合い、結局、俺は大きな代償を払う形ですべてを終了させた。
仮想通貨で大損するようなものだろうか。
その人と出会ってから乱れっぱなしだった心は、その時ようやく平静を取り戻した。
平静を取り戻すのに時間はかからなかったけれど、この世にあんなものが存在するということに驚いた。
その人間と一緒にいるときの俺は、正気ではなかった。
恐ろしかった、自分だって、自分の世界観を築き上げるタイプなのに、相手の世界に飲み込まれてパーツにされていることが、たまらなく恐ろしかった。
あの世界に今でも彼女は囚われのお姫様のように生きているのだろう。
俺はできれば会いたくないと思った。
次に会ったときは、それは何か、不吉を表している
それこそ、出来損ないの物語のようだと思った。