今週のお題「ごはんのお供」
最近、よく納豆を食べている。
昔から俺は納豆を食うように強要されていた気がするが、実際、嫌いではなかった。
実家にいたころは必ず納豆に卵の黄身を入れるように言われていた。
一人暮らしをするようになってから卵の黄身を入れなくても全く問題がないことに気づいたので、俺は今、たれとからしで納豆を食べている。
納豆は、なんでも体にいいらしい。
確かになんだか、体によさげな効果を俺は感じていなくもない。
なので、俺のご飯のお供は納豆だった。
圧倒的に納豆だった。
納豆はしばらくすると飽きる味だったが、もう何もかも飽きている俺は、納豆を共にすることに何のためらいもなかった。
コツは、お昼ご飯を食べないこと。
おなかが空いていれば、なんでもおいしい。
それが例え、俺の作る不味いごはんであっても、おいしいのだ。
納豆に、さらにキムチを足すと、とてもよいのだという。
さすがに、人前ではなかなか憚れるのだが、ここは一人暮らしの利点だろうか。
俺は体にいい、をなんとなく目指して納豆を食べた。
茶碗を置いた。
冷蔵庫の中に入っている業務スーパーで購入したキムチのふたを開けた。
一度、常温でほったらかしにしてしまったからか、少し発酵が進んでいる気がした。
キムチもおいしい。
ただし発酵しすぎると味が強くなりすぎて食べられなくなる。
冷蔵庫が時折、異音を発する。
ウィ~~ン。
謎の音だった。
冷蔵庫に対して特別なメンテナンスも行わない俺は、もしかすると冷蔵庫に過度な頑張りを強要させているのかもしれない。いつもありがとう、冷蔵庫。
納豆を食べるタイミングは、特に夜がいいのだという。
一人暮らしになってから購入していた納豆は定額30円台の納豆だったが、最近は80円台の納豆を買うようになった。
決して収入が増えたわけではない。
むしろ、俺の講座の残高が5万円台になってしまったことに、俺は少し笑ってしまった。
5万円とは、なんとなんと、俺が東京にきて最初よりも低い残高ではないだろうか?
それでも80円の納豆を購入するようになったのは、やはり小さい、小粒の納豆のほうがおいしいからである。
クオリティオブライフ。
このすばらしい納豆ライフを、経済事情に邪魔されてなるものか。
それにしても口座残高5万円はまずい。
しばらくし好品の類は控えないといけない。
世の中の人間はいったいどのように生活しているのだろう。
俺は冷蔵庫の中に残ったキャベツとジャガイモを眺めて、はてなマークを浮かべた。
買い物に行こう、そう思ったけれど、窓から太陽の光は差しておらず、むしろ窓にはじかれる弱弱しい雨粒が「今はタイミングじゃないですよ」と訴えているようだった。
音はイヤホンをつけているので、聞えなかった。