白みかん

白みかんは、おいしいみかん。みかんを剥くのがうまいよ。

やさしさとは…

「傘を手渡す紙袋紳士」の写真

強くなければ生きていけない
優しくなければ生きていく資格がない…のか?

現代社会において優しさとは弱さに近づいている気がする。
思いやる心は利用され、思いやる行動は搾取される。
どうやら、もうどうしたって世界はそういうふうに回っているらしい。

以前デスゲームみたいなものに参加したことがある。
いやいや、ルールがデスゲームみたいなだけで、あれは心理実験というやつだった。
俺を含めた参加者が5名いる。
お互いの素性は、分からない。
お互いに分かるのは、選択した記号だけだ。

みんなが一つの記号を選び続ければ全員に均等にお金が分配される。
だが、みんなを裏切って一人勝ちすれば大量にお金が分配され
また、基本的に少数派であればお金は分配される。

簡単に言えば、みんなで力を合わせるとみんなが幸せになるが
裏切れば簡単にお金を手に入れられるそんな心理ゲームだ。

俺は言葉の通じない状況で、必死に訴えかけた。
この記号を選ぼうと。
この記号を選んで、みんなで勝とう。

そして、その記号がそろうことは最後までなかった。
一人だけ記号をそろえず、大量のお金を得続けた人間が参加者の中に混じっていたからだ。

たまに「優しい」と言われる。
俺の優しさは選択肢の少なさから来るものだと思う。

幼いころに植え付けられた
「やってはいけない」
幼いころに憧れた
「やったほうがいい」

善行の悪行はそのころから何も変わっていなかった。
自分の知り合いのうちに入っている人たちが傷つけば心配するし助けてあげたいと思う。
自分の後輩を応援したいと思うし、力になれることはしてあげたいと思う。
さて、でも、それは俺の本心なのだろうか?

大学の頃、俺は自分の時間のほとんどを投げうって
他人のために、所属する組織のために尽くそうとしたが
結局、何を得たのかといえば、失ったものばかりで残ったものは数少なかった。

虚しかった。

「でも、あなたは優しいから」

そう言われたことを覚えている。
でも、自分では自分のどこが優しいのかはよく分からなかった。

優しいってどういうことだろう?
他人を見た目で判断しないことか?

俺はきっと見た目で判断してる。

弱いものを守ることだろうか?

俺は虐められていた生徒を守らなかったし、殴り合いをしている連中に関わりたくもなかった。
いくら頭が死んでいたとはいえ、それで本当によかったのだろうか。

きっと、悪意がなくたって、自己防衛はあった。
守ることでこうむる不利益を恐れたのだ。
俺の意思で守らないことを選択したのだ。

と考えれば…、まあ、何とも人間らしい
つまらない人間だろうかと思う。

現代社会は醜い、男は醜い、などと言いながら
その実、言葉がすべて自分跳ね返ってきていることに俺は気付いているのだろうか。
他人の輪の中で話している自分と、一人で自分と向き合っているときの自分は違う。
お前の優しさは、本当に本物か?