白みかん

白みかんは、おいしいみかん。みかんを剥くのがうまいよ。

無職が100連休とった結果

 

 

課長、笑う

会社を辞めたあの日はものすごい遠い日のように思えた。
あまり計画性のない自分は
新型コロナウイルスによる自粛をも顧みずに
退職願を汚い字で、そしてインターネットから移した内容で書いて提出した。

「まあ、新型コロナウイルスもありますから延長しても…」
「フフッ…」

延長をほのめかすと、課長は笑った。
このやろう!と心の中でつぶやき、5月末に俺は会社を辞めたのだった。

無職になってから100日ほどたつ。
早起きをしていたが、その時間が尾所に遅くなり
太陽の光も早起きのアラームもどんどん、うっとおしくなってきた。
朝起きても、昼起きても構わないし、夜寝ても構わないし、夜寝なくても構わない。

いわば、俺にとっては人生2回目の夏休みなのだが
当の俺はまったく楽しくなかった。

なぜなら、自分にとってこれは許されざる休みだからである。
100連休の無職。
無職…。

ニート

世の中、フリーランスや副業を始めている人間は多い。
フリーというものやお金に縛られない生活をしている人間はいる。
だが、俺は無職。
定義上、かなり、ニートに近い。

精神的に向上心のない人間のことを定義上はニートと呼ぶのだ。
であるからして、俺は、ニートだった。

新しい部屋に引っ越していろいろなものを購入した
仲介業者に中抜きされるとわかっていながらも
いろいろなものを注文すると、どんどん使っているお金が
増えているのが、わかった。

健康保険と、住民税が、のしかかってきた。
払った。7万円なくなった。

もしかしたら、俺にとってたくさんの友達がいれば
コロナ禍をも乗り越える友達がいればちょっとは違ったかもしれない。
だが、そんなことはなかった。

東京の住まいから、1.2倍ほどになった、依然小さな部屋で
俺は画面に向かい続けていた。
眠ければ寝る。
食べたければ食べる、生活。

フリーランスはいい。
したいことができるから。
したいことがあるから。

独立みたいな方法もあるけれど
独立を俺が考えられるのならば
たぶんもう俺は独立している。

独立にはしたいことがある。
俺はしたいことがない。

したいことがある奴はいい。
人生にとって生きる糧になるから。
したいことがない奴は悲惨だ。
どこに向かっていいか、分からないから。

暗闇の中を進んでいるというよりは
何の導もない草原をさあ走れと言われているような。
周りには、進んでいっている人たちがいる。
その人たちは直接俺の目に見えているわけではないけれど
俺のイメージの中に存在している。

ホームパーティーゆるさねえ

かつては自分も人間関係があった。
今はもう見えない何かがあって別れてしまってけれど
素敵な面を切り分けて投稿するSNSは
彼らが無事に進んでいっていることを明示していた。

ホームパーティーをしている。
遊んでいる。
学んでいる。
ライスステージを上げている。

都合よく生きるならば死んでしまえと思いつつ
きっと自分だってそんな幸せを享受する立場になれば
また何も考えなくなるのだろう。

幸せな時の自分の指向は、停止している。
何も考えない。

100連休の中でさまざまなことがあったかといえば
そんなことはなかった。
思い出せといわれてもなかなか出てこない。

「今日特に何もない、すばらしい1にちだった」

日記にいざペンを向けた時に何も走るものがない時
俺は自分の何もしてなさに気づく。
また、一つ年を取ってしまった。

生物的な役割を果たせるのだろうか。
もしかしたら果たせないかもしれない。
もう、ダメかもしれない。

無職は思い悩んだ。
空を飛ぼうとした。