東京生活が今終わろうとしていた。
物がなくがらんとしたこの部屋の様子は内見に来た時とそっくりだった。
ただ、俺がさんざん壊してしまった壁紙が痛々しい。
大学生活の終わり方がよくなかったとしたら
社会人生活第1期の終わり方は悪くなかったと言えるかもしれない。
昨日は最後のマンションでの夜だったけれど
俺の社会人としてできた同期社員と共に結構どうでもいい話をして
そこそこに盛り上がったり盛り上がらなかったりした。
あの時の自分は大阪に帰りたくてしかたないという風だったけれど
今はそんなことはない。
でも停滞することは本意ではないこともわかっていた。
今の会社の状態を見ても長く続いた歴史を変えることに全神経を注がないといけないことも。
それをした場合、俺の人生の時間がかなり消耗されるということもわかっていた。
だから、逃げなくてはいけなかった。
会う人が変われば、住む場所が変われば
自分の時間を割くところが変われば人はおのずと変わっていく。
それはこの東京生活もそうだったと言えるだろう。
俺は少しだけ変わったかもしれない。
絶望的な状況、そして気分は変わらないけれど
でも一生懸命やれば、認められることもあるし、逆に認められないこともあるのだと知った。
だから、またもう一つ変わりたいのならば
この状況にな柄に、身を任せて俺は住むばよと環境を変えてみようと思う。
新型コロナウイルスは依然として勢いを収めていない。
失業した人たちは何万人といる中で自分もまたそうであるという可能性は
決して低いものではないと思う。
ゆえに、俺はまた頑張らないといけない。
頑張り続ければいつか何かがまた
運が…俺にもう一度味方してくれるのではないかと信じるしかない。