今週のお題「好きなお茶」
生まれたころからか、俺の家にはおおよそお茶と呼べるものがなかった。
そもそも人がなぜお茶を飲むのかはあんまり分からない。
水に何かパックのようなものを浸してお茶にしているところを見たことがある。
だが、そのままでも飲めるものになぜ味をつけるというのだろうか。
俺にはあまり理解できなかった。
水が好きだった。
手元にあるペットボトルには
「カレーにはやっぱり水でしょ」というむねのコピーが書かれていた。
そうかもしれない。
水とは、おかずなのだ。
そして、時折それは主食にすら匹敵するくらいの力を持っているのだ。
リングフィットトレーナーに類するゲームは昔から存在した。
その改組ともいえるような謎の棒を持ってステージをクリアするゲームを俺はしていたのだが
それをやると大量に汗をかくし、体力を消耗してしまう。
その時、飲む水というのは、まさに…
まさに主食にすらなるほどの、圧倒的な悦をもたらしてくれるのである。
だが、プールで口に入ってくる水を
体が受け付けないのはなぜだろうか。
夏の空気が潮流のごとく今、去ろうとしていた。
俺は水を飲んだ。
おいしくも、まずくもない。
それは水だった。