白みかん

白みかんは、おいしいみかん。みかんを剥くのがうまいよ。

4月2日の日

 

2021年4月2日。
起きた。
起きてそこに見えるものは天井ではなくて、基本的に枕元であることのほうが多い。
寝相が悪いのやらいいのやら、眠気に負けているときの自分は、理性がはがれ気味である。
はがれ気味であるくらいでも恐ろしいのだから寝ているときの自分なんて、もっと恐ろしかった。

起き抜けにネットサーフィンをした。
別に勉強らしいネットサーフィンではなくてインターネットのどうでもいい記事をただただ徘徊するという行為だった。
こんなことをしている間に勤勉な、賢明なる男たちが努力しているのを、俺は知らない。

6時になるとアラームが鳴る。
気象のためのアラームというよりは、ただ止めるために存在するためのアラームとなっていた。
インターネットの旅を、終える。

そこからが本当の起床である。
顔を洗った。

シャワーのノズルをひねった。
最近は髪を上げて、薄い毛用のシェーバーで顔周りの毛を落とすことが多い。
これをおしゃれにいうとトリミングするというらしい。
押すだけで泡状の洗顔料が排出されるポンプを2回半押す。
手のひらで伸ばして、顔全体に塗りたくった。

先ほどひねったシャワーは既に温度が高まっている。
本当のところ、あまりあ高い温度は肌によくないらしい。
でも、この辺りに関してはまだ悪癖として残っているようである。

洗顔を終えると化粧水をコットンにしみこませてから、顔につけた。
ある程度全体的につけるとコットンを2つにさいて、顔に貼り付けた。
ユーチューバーが教えてくれたコットンパックという技である。
これを始めてからかれこれ2か月くらいになるが、特に肌に変化は見られなかった。
2月くらいにできた大きな炎症が、1か月経過しても消えなかった。
大きな傷跡になった。

割と気を使い、金も使って、それでもだめだというなら、この体何をしたらいいのだろうか。
昨日作っておいた鶏ガラ卵スープを温める。

フライパンで作って半分をそのまま放置したものである。
これでいいのですか?と自分尋ねたくもなるが、食べられるんだからしかたない。
5分だか10分だかして、出来上がりだ。
更に昨日のあまりのご飯を入れれば、おかゆ的な何かになる。
これが、肉が入っていないのに結構おいしい。

しかし、見た目のおしゃれさは皆無だった。
これを作ったとしても「…おお」というリアクションしか想定できず、俺は女子力も男子力も低い何者かにしか依然としてなれていないようである。

食べ終わって、7時半くらいであった。
まだ、家を出るまでは1時間くらいある。

とはいえ、今日から1泊、そして久しぶりに人間に会う予定がある。
この日のために3月はあったようなものだった。
どうしようか。
自分と対話を始める。

髪型はどうしようか、服は春らしいものがいいだろうか。
荷物はいつも持っているような大きいものは嫌だなあと思う。

今回の趣旨は、今の世の中で結構風当たりの強い花見である。
別に騒ぐつもりも酒を飲むつもりもない。
その気になれば無音・無飛沫で会話ができるメンバーであるので、世間も許してはくれまいか。

とりあえず、俺は髪の毛にアイロンを当て始めた。
ぐりぐると回してみるのだが、出来上がったのは、最初よりややボリュームが抑えられた髪だった。
おかしい、カールを入れたのに、もとよりカールしていないというのは。
天然パーマに勝るアイロンなし、ということなのだろうか。

そこにヘアオイルをしてチリチリ感を抑えつつ、ダメ押しのジェルグリースを使う。
完成だ。

…。

前髪を下ろすように作ったつもりだったが
やはりこの髪型はなかなか厳しいものがある。
毛量が足りないのだな。

俺はこの髪型をあきらめて、前髪を上にあげることにした。
これなら大丈夫だ。
そこまで変じゃない。

まだ少し時間があるので、録画してあったNHK手話ニュースを見た。
新型コロナウイルス新型コロナウイルス
接待問題、接待問題、不信任決議である。

ああ、世の中嫌なニュースが過ぎる。
どこかに幸せなニュースが落ちていないものだろうか。

俺は白いパーカーのうえにブルゾンを羽織ると、姿見の前に立った。
そこにはそこそこの身長のそこそこコソコソ男が立っていた。

行ってきますは言わない。
恥ずかしいから。