白みかん

白みかんは、おいしいみかん。みかんを剥くのがうまいよ。

アルバイトコンプレックス

 

試しに「アルバイトコンプレックス」で検索をかけてみたが、こんな言葉は存在しないらしい。

みんなはあまり持たない感覚なのだろうか?

俺が初めてアルバイトというものが実在するのだ、と感じたのは高校生のころだった。

無駄だらけの部活に入っていた自分と、同級生。そして、その同級生が姿を消した。

聞けばスーパーでアルバイトを始めたという。

「バレへんて」

一応、アルバイト禁止の校則はあったけれどバレることはなかった。そもそも、教員でさえ校則の一つ一つを理解しているわけでもなさそうである。

俺がなんの生産性もない時間を過ごしているとき、俺と同じような背格好をした彼は、働いていた。

彼は記憶力がよかった。その気になれば色んなことをすぐ暗記できた。俺が三週間かけた勉強を彼は昼休みの間に終わらせたらしい。なんだか俺は後ろぐらい気持ちに襲われた。

大学生になると、周りは当然のようにアルバイトをし始めた。

俺は焦ったのだった。なぜ、焦るのかは分からなかった。

学業で、サークルで精いっぱいだった。(学業には一年生後期から手を抜き始めていた)

それでも、なぜか、周りの人々は当然のようにアルバイトへ向かった。

なぜ、そんな当然のような顔でプラスアルファの労働ができるのか、分からなかった。

俺もアルバイトを始めた。スーツ着用のそのアルバイトは、緊張感に満ちていた。

謎の通路で着替えて、売り場に出ていく。

「いらっしゃませぇ~」

よく分からなかった。何をすればいいのか、何を説明すればいいのか、何が正しいのか…。

確かに説明はされたけれど、とても数百ある商品を商品別に解説する力はなかった。

つらいぜ。

…と思っている間に、俺はアルバイトを辞めた。

アルバイトコンプレックス。

プラスアルファを当然にやる人たちの中で、自分だけがサボっているような感覚。

してなくても精いっぱいなんだ。したら、もうどうにかなってしまうんじゃないだろうか。

社会人になると副業する人なんてメジャーじゃないのに、なぜ学生はアルバイトをするんだろう?

それがメジャーだからか?
まさかお金のためにやっているか?

確かに学費を稼ぐためにアルバイトをしていた人もいた。
奨学金よりもアルバイトのほうが楽だということだろうか。

分からない…。
自分にとって、この世のなぞだから。
分からないな…。