白みかん

白みかんは、おいしいみかん。みかんを剥くのがうまいよ。

結婚できない男

 

 

非常に焦っていた。
俺は焦っていた。

婚活など出会い系など正直そんな切実さを持って焦ったことはなかった。
だが、しかし俺の年齢は27歳。
いや、正確には26歳だったのだが、あまりに…
この世の中は…。

本当は旅行の計画もあった。
友達と遊ぶ予定もあった。
そんな機会をコロナというコロナでつぶされて俺は…
やがて心が折れた。

結婚できない男

結婚というものがあこがれとされる価値観が俺の中で
押し付けられたものではない。
最初の恋人と過ごす中で彼女も初めて誰かと結婚する未来があっていいと語っていた。
そして今の俺もそう思っていた。

仕事とは、結婚とは。
遠い未来の中にあるはずのビジョンが、いま現実の中に
ありありと現れている気がする。
そしてその現実の中で置き去りにされて俺は
遠い場所から街の中に光る窓を見る。

世帯ごとにひかる 窓の向こう側に
温かい家庭を夢みている。

同級生は結婚し始めている。
子供もいる。
親友はシングルマザーになった。
中学に叔父クラブに入っていた彼は家を買った。

みな…、みな生きている。

「今度ご飯に行かない?」
「落ち着いたらね」

決して送られてこないLINEのメッセージが届いた時
そこには「落ち着いたらね」という答えがあった。

「落ち着いたらね…」。

恋愛的アプローチをとるのは苦手だ。
そしてこの子はきっと恋人がいる状態で
誰かと2人で会ったりはしないのだろうと
長い付き合いであるような…それでいて関係のないような俺は…思った。

またパソコンに文字を打つことでしか自分の感情を発散できない。
誰か聞いてくれよと思いながら
誰も聞いてくれない文章を誰も見ていないブログに打ち込む。

SNSがなんだ。

俺はInstagramのアカウントを消した。