白みかん

白みかんは、おいしいみかん。みかんを剥くのがうまいよ。

I gave you my heart.

 

ラストクリスマス
今日は2020年、クリスマスだった。
かつては日本中が熱狂するとか経済が爆発して、ここがトップで後が心配や、とか言われていた2020。
ふたを開けてみれば新型コロナウイルスとかいう謎のゲストのせいで多くの人の生活が狂った。
世界はもちろん、俺にでさえ、こんな俺にでさえも、影響があった。

たまたま俺は生き残ったに過ぎない。
俺の周りの?というか、昔の知り合いたちも無事だった。
大打撃を受けた企業に勤めている知り合いもいたが、元が大きいだけにクビはつながっているらしい。
俺は運が良かったようだ。

日本がプレゼンテーションに時間をかけて、一生懸命な戦いの末にオリンピックの開催地としての栄誉を手に入れた…
というドキュメンタリーを授業で見せられた身としては笑っていいのか、悪いのか、分からない。

とにかく、クリスマスだった。
街を見ればカップル、カップル、アベック。

本当に少子化しているのか?
本当に現代人は恋愛に対して諦念を抱いているのか?

自分の世界が狭いせいで、俺はメディアから発信されてくる男女像しか把握していない。
年収500万以上の星野源しか認められないのは本当か?
じゃあ、電車で隣に誰も座ってくれない俺はどうなる?
よく分からない。

俺は、チキンを買いに行った。
クリスマスなんだ。
しかも、なぜか仕事は休みなんだ。
クリスマスイブも定時に帰った俺は、案外ホワイトな働き方をしているのかもしれない。
もちろん、何の代価も払っていないわけじゃなく、そこには1年目から積み上げた実績のような何かがある…のかもしれないが。

チキンは売り切れていた。

「ポテトならございます」
「はぁ~そうなんですね、ありがとうございます!」

ポテトは買わなかった。
ポテトなら家の冷蔵庫にあるジャガイモで作れる。
チキンは、俺には作れない。

「クリスマスが今年もやってくる~」

コマーシャルソングを今年は聴いていない。
YOUTUBEの広告にも進出してきているらしいが、CMを切っているせいで、耳にしていない。
日本人はなぜ本来のクリスマスとは全く関係のないことをするのか。

ケーキを買ってサンタを召喚したと思ったら、年越しそばを買ったり鏡餅を買ったりする。
とてもシュールである。
でも、このシュールさの中で育った俺には、もはやこの行為に疑問を呈することさえできない。

「ムードが大事だ」
「ムード?」
「男なんて夜11時のあとしか考えてないんだ」
「なるほど」

会社の同僚は、甘そうなドーナツを食べながら俺に教えてくれた。
まあ、確かに分からなくはない。

「女の子はあなたみたいに見た目で興奮したりはしないんです」

かつて、そういわれたことがある。
雰囲気が大事だということを男性が半端に理解した結果が
クリスマスでなんかデートしたあとに家かホテルに行こうぜ作戦である。
あのイケメンや、あのイケメンも…まあ大体そんなことを考えているんだろうな
…という妄想を抱きながら道を歩くと…

なんだか…。

彼ら彼女らが少子化を解消してくれる…
そんな気がした…。

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