白みかん

白みかんは、おいしいみかん。みかんを剥くのがうまいよ。

「SAP分からないです」

 

 

 

「給料下げてもうんたらかんたら」

本日午前帰宅。
母親が家を出る前に何かを言っていた。

確か下記のようなことである。
「在宅などで家を出ないからお前には人間関係がない」
「給料が下がったとしても20代のうちに人間関係を作っておくべき」

もっともらしいことを言っているかもしれないが
転職しようと給料を下げようと
人間関係が改善する保証などないし
それにもとより今の俺の状態で転職などしては目も当てられない結果になる。
この人は自分の子供が優秀だとでも思っているのだろうか。
何を見てきたのだ。
俺の何を見てきたのだ。
母親だけではない、父親もそうであった。
なぜか俺のことを頭のいい人間だというふうに扱っていたが
両親ともに大学にも行っておらず
育てるだけ育ててきただけだというのに
何が頭のいい人間か。

俺のような人間は結局、就職というところで社会バリアに弾かれる。
この現代では人間は給料を得ることができない。
もう、格差社会なのである。
どうやっても頭のいい人間たちに勝てないし
既得権益にも勝てないし
俺のようなアホは就職活動の時点で落ちこぼれるのだった。

それでも俺は瀬戸際に生きている。
今、挑むものの名前はSAPである。
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SAPとは今俺が職業上扱っている製品の名前である。
27年間生きてきているが去年、この製品の名前を初めて知った。
それもそのはずこのSAPというのは日本の製品でもないし
学生がお目にかかるようなものでもない。
日本では一部の大企業などが社内を回すために扱ってきたものだ。
つまり、一般人はお目にかからないのだ。
つまり、俺は知らないし、世間も知らないものなのだ。
であれば俺は、この製品について薄っぺらでも説明できるように
なっていないといけない。

このような製品のことをERPという。
Enterprise Resource Planningの略称だ。

これを日本語で簡単に説明すると
「全部門共通システム」というらしい。

旧来、日本のシステムは部門内完結していた。
だが、企業内のすべての業務を1つのシステムで管理しようという発想から
ERPが生まれてきたようだ。
例えば調達部で調達計画したものの数字は財務部に連携されなければならないし
もとをただせば営業部から情報連携されたものである。
数字のズレは判断のずれを生む。
それを防ぐためにERPが導入されるのだ。
また、部門間のデータ受け渡しという摩擦も問題である。
情報が連携されて、そのたびに部門内のシステムにインプットするというのは
明らかに二重、三重の手間を生んでいる。
それらが一元管理によって抹消されるのである。

SAPはそれを扱えるERP製品である。
更にその中にモジュールという概念があり
旧来の部門ごとの機能と似通っている。
SAPをインストールするとすべてのモジュールが同時にインストールされる。

FI…会計システム
企業がお金を動かす団体であるため
切っては切れないのが会計である。
SAPを導入する時には必ずFIモジュールが利用されるといわれている。
ゴールは財務諸表を作成することである。

CO…管理関係
管理会計とは直接的な会計ではなく
企業内部の細かいコストの発生状況を分析する業務である。
内部向けの報告書を作成することを目的としており
若干コンサル的な意味合いを含むようにもみえるが
その役割はあくまで分析に終始するようだ。

SD…販売管理
受注から出荷までの一連の業務を管理することを目的とする。
売上データはFIモジュールに自動的に連携される。

MM…在庫購買管理
在庫管理システム、調達管理システム。
SDは売る側であるが、MMは買う側である。

その他HRなどがある。

この製品をインストールしたあと
業務内容に合わせた細かいパラメータ設定と
ABAPによる追加開発を実施する。

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そうしてサポートに関わっていっている俺であるが
俺は先ほどのどのモジュールにも属していない。

それはBasisという。
現在はSAP NetWeaverというらしい。

稼働管理/運用管理/障害管理/変更管理という4つの業務を扱う。
稼働管理/運用管理はともかく公社は
広い知識が必要となり難易度が高いといわれる。

・稼働監視
・パフォーマンス監視
・リソース監視
・各種のチューニング
・バックアップ運用
・ユーザ管理
・SAPシステム管理
・定常業務
・アップグレード/マイグレーション
・障害の調査
・障害の復旧対応
・予防保守対応
・変更管理の定義
・設定変更
・更新プログラムの適用
・モディフィケーション管理

ただこの領域の人材が少なすぎて
オフショアされているという話も聞くため
ずっとこれをやっているのも危険である。
どこかの段階でジャンプすることも考えないといけない。

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このSAPという製品。
聞いたことがないというのはつまり世間に情報があまり出ていないということである。
いくつか確かに日本語のブログは存在しているが
他の製品に比べると明らかに情報が少ない。
門外不出の内容が多いということなのだろう。
俺の属した場所が、かなり、本当に人数が少ないということもあり
ノウハウはめちゃくちゃあるわけではないと思われる。

俺はこの製品を扱うということを通して
社会に出ていかないといけない。
本当に社会と戦える人間かどうかがそこで分かる。
死ねば、そこまで。
死ねば、終わりで、そして価値のない人間である。