白みかん

白みかんは、おいしいみかん。みかんを剥くのがうまいよ。

ヤマケンの冬 廻天する惑星模型

 

 

2023年になった。
多感なる学生時代を終えた2018年のことは
案外遠くない記憶として自分の中にとどまりつつ
現状何も満足できていない、どころか情けなくもある
オフホワイトな日常の中に自分が溶けて行っているという実感がある。

日本の首都で数年。
それでも自分なりに会社の、部署の役に立って
そのうえで円満退社を迎えた。

「数年たてば自分だって少しはましになるだろう」。

会社を辞めますと上司に伝えたのは会社を辞める実に2年も前だった。
そのくらいのスパンをかけた3か年計画ならぬ白みかん計画である。

5年後の自分が、まさかこの体たらくだとは思っていまい。

SNSの通知があったのは2022年の終わりごろだった。

「ユニバにいくで」。

背の高い彼が何度となく立ち上げる企画だったが
実行されたのはそこまで数多くなかったように思う。

大学生のころのサークルメンバーといえば
自分が一番時間を使って、一番醜い姿を晒したメンバーであった。
精神が未熟だった、の一言では済まない、悪行。
影響範囲が自分だけでは留まらない試行錯誤の日々が
彼らにも悪影響を与えていたと気づいたとき、もう彼らは卒業し
部室には誰もおらず無造作に塗りたくられたコンクリに間の抜けた飾り付けが嘘めいて見えた。

彼らに会っていいのだろうか。

数年たてば成長してるだろう。
ましになっているだろう。

ましになっていない自分を見せてもいいのだろうか。

別の予定を入れた。

彼らの会いたかった、そして会いたくなかった。
会わないでいれば、たぶんもう傷つかずに済む。
いい思い出があるということは自分にとって大切なものだということだ。
大切なものに触れることは代償を伴うこともある。

別の予定は新型コロナウイルスによっていとも簡単に消え去った。
この男はこれでもうドタキャン2回目である。
いい加減にしてほしいというものだが妻帯者に無理は言えない。
自分は何も背負ってはいないのだ。

そうして迷う。
行っていいものか、いってなるものかと。
そもそもUSJなんて好きじゃないのではないか?
楽しめないのではないか、アトラクションが。

これもまた、流れか…。

再会した彼ら、彼女らはそこまで大きく変わった様子はなかった。
恐らく見た目も中身も、彼ら彼女らなりにたくさんの経験を積んでいるのだろう。
自分よりも、きっと。

楽しかった。
思ったよりも、ずっと。

彼らとはギクシャクしたこともある。
海外に行ったメンバーに対してメッセージを送り続けたことも
飲み会の途中で同じ空間にいたのにlineが送られ続けたことも
友情だと感じたものが嘘だったこともある。

そういえば大学のころの自分は
サークルの活動内容が好きだったわけではない。
彼らがいたから自分は、一定の評価が得られるレベルまで
サークル活動のための技術を身に着けたのだと思い出した。

彼らと、彼らのいる空間が好きだった。
自分を初めて排除しない空間でいてくれて
そのままいていいと思わせてくれた空間が好きだった。
それが身勝手な思いで、その犠牲になった人がいたんだからそのこと自体は許されるものではないだろう。