2月。
肌寒い季節が依然として続いていた。
サーモスタットを分別なく使いまくる俺の部屋と外界は気温的にも心理的にも大きく隔たれているような気がする。
会社の業務は一時的にインターナルな負荷の低いものを任せられており、気分的な落ち込みは小さい。
狭量な俺は寒空の下でフリスビーを投げ合う男女を部屋の窓から見つめている。
「読んだけど分からなかった」。
ある日LINEにこのような文章が投稿されていた。
LINEの文章が分からないことなどあるのだろうか。
見返す。
「今日のトークをまとめてほしい」。
彼女にしては珍しい依頼系である。
やや淡白な文章だからか憤りめいたものを感じなくもない。
見返す。
確かにやや分かりづらい文章展開だった。
その原因は自分の茶々を入れたような挿入文が原因であるように思う。
事実として自分のメッセージを抜き、もう一人の女性と男性の会話だけを抽出すると自然な流れになる。
消せばいいのだ、自分のメッセージを。
そうして読めば意味は通る。
やがていつもと同じくLINEの難しさという命題にぶつかる。
余計な情報をそぎ落としたものだけがメッセージではない。
人柄を文章に落とし込むことこそが文章であり、チャットである。
そういう観点からは成功しているような気もしなくもないが
余計な混乱を生んでいるような気もするのが俺の文章である。