白みかん

白みかんは、おいしいみかん。みかんを剥くのがうまいよ。

学生最後の日

 

その日は、今までずっと走りつづけていた冬がばてばれになってしまって
唐突に選手交代を告げられた春が駆けだしてきたような
ありきたりな表現になるけれど
その日は暖かい春の陽気を感じさせるような、暖かくていい日だった。

学生最後の日。
幼稚園、小学校、中学校、高校、大学…
そのすべての日々を思い返しながら、今、大人の仲間入りを果たそうとする日。
その郷愁の切なさよりも、式で待つ友達に会いたい欲が勝り、足早に玄関を飛び出した。

…という夢を見た。

学生最後の日。
本来は自分もそんな感じで物思いにふけながら学校に向かい
なんかよく分からないけど、なんか知らない先生の話を入学式と同じ場所で聞いて
ゼミの仲間たちとそれなりに談笑して、4年間を一緒に過ごしたサークルの仲間たちと過ごせればいいなと考えていた。

だが、実際はどうか。
朝起きた俺は、その頃囚われていた絶望的な思いを捨て去ることなど全くできず
サイズが明らかに合っていないスーツに身を通し(就職活動中、一度たりともジャストサイズのスーツを着なかった)
自分が利用している電車は人身事故を起こし、卒業式自体には間に合わず
ゼミで証書をもらう場所はどこにあるのか分からない(調べる気が起きない)。

後手後手に回った俺はその日中、せかせかとしていた。
そう、わたわたとしていた。
一体何がしたかったのか分からない日だった。

学生を終える日に対してたぶん憧れのようなものを…
カタルシスを求めていたのだろう自分は、今日そんなものを夢に見てしまった。

起きればそんな日はとっくに終わってしまっており
いやに絶望的に長く続く人生の途中にたたされている自分にキャッチアップするのだった。
学生時代、もう少し自分が強くあれば、理想的な卒業式を迎えられたのかもしれない。

ところで依然として肩が痛かった。
肩の痛みで目薬を差したり、服を着替えたりという行為が非常にしづらい。
雪の予報でワクワクしていたのに、結果は中途半端な雨である。

つまらない…。
人生は死ぬまでの暇つぶしと聞いたことがあるが
こんなに激しくつまらないなんて…。

今日は何をしようか…。

口の中が気持ち悪かったので、めちゃくちゃ歯磨きをしてみた。
思いのほかすっきりしたので、昨日のお勉強を続けてみようかな。