白みかん

白みかんは、おいしいみかん。みかんを剥くのがうまいよ。

見栄張り

 

「見栄っ張りですよね。」

その土地は横浜という。
横浜というと、一瞬横浜県?となってしまうが、それは違う。
誰も横浜県などと勘違いしないっていうそんなあなたは騙されている。
横浜は神奈川県だ。

横浜(神奈川)
神戸(兵庫)
この2つはよく似ている。
それは見栄か、それとも罰か。

とにかく、その土地は横浜という。
もしかしたら横浜ではなかったかもしれないが、その日俺は歩いていた。
前日さえも雨の中、なぜか隣にいる人間だけが傘を差し、俺は雨に濡れるという構図が続いていた。
機械が定める俺の1日当たりの歩数目標を大きく上回ったその次の日のことだった。

少しばかり坂になった道を延々歩いていく中、彼女が言った。

「見栄っ張りですよね。」
「あなたもそうでしょう。」
「私は違います。」

俺は少しばかり言い返したがきっぱりと否定されてしまった。
そんな1日だった。

看破である。

生来、俺は見栄張りだったのだ。
恐らく会社で何でもできるふうの人間として扱われているのも俺が見栄を張っているからである。
実際はできることの少なさに驚かれるので、初めて見たデスクトップパソコンの電源がついているか分からず眺めていると
ひどくがっかりされたようなコメントをされることがある。

このやろう!ヒゲオヤジ!

初めて見るもんなんか、わかるわけねえだろ!

そう思うのだが、果たして
悪いのはこのヒゲか、それとも俺か。

きっとそれは俺なのであった。
俺にとって世の中は知らないことのほうが多い。
いや、知っていてもそれが俺の制御する範囲であることのほうが少ないのである。

脳から体への命令がうまくできず、失敗することのほうが多い。
俺は家庭環境が安定していたあの頃、たくさんの習い事をしていたが、満足する出来になったものはなかった。

習字やら書き方教室にひどく通わされたが、今でもカナ釘流の奥義を体得するレベルである。
水泳は回転ターンすらできず、あげく走り方の問題で膝に傷を抱えてしまうのであった。

人間、残念ながら遺伝子レベルで優劣は決まっている。

世の中のことが、分からない。
分からないから怖い。
怖いから手が出せない。

「やれやれ、まいったな…」

いや、もう本当にどうしたらいいか分からない、助けてくれ。

そう思ったとしても、なかなか俺は人に頼ることができずにいた。
やれやれではなかった。
そんなやれやれ言っているような人間だとしたら今頃もっと賢い生き方をしているだろう。

人を利用して生きていれば今頃もっといいポストにつけているというのに。

缶を拾った。
ゴミ箱に入れた。
するとあふれたゴミ箱から複数の缶が飛び出した。


この飛び出したゴミは、俺がまいたゴミか?
俺は親切心で、俺が生み出したわけでもないゴミを拾ったというのに
飛び出していく缶たちを見て、これが俺が現在進行形でやっていることなんだなと思った。