無職。
ドロップアウトともいえるような肩書。
「自己紹介をしてください
学生の方は大学(学校名)
社会人の方は社会人だけで結構です」
大学生のころは自分でそんなことを言っていたのに
今やこれを言われる身となってしまい
なおかつ、この自己紹介、無職の人のことを考えていないよなと
無職の気持ちについて、今になってわかってしまうという無職ぶりを発揮していた。
無職はラインをその日眺めていて
仕事が終わったらいつか教えてねと言われていた後輩のLINEを見つけた。
そして、辞めたよ、無職だよと返信すると岩盤浴へ行くことになった。
岩盤浴は要するにサウナのようなものだった。
まず岩盤浴着に着替える。
そして、岩盤浴の部屋に入って
我慢の限界まで部屋の中にこもるのだそうだ。
お風呂ではないので男女一緒に行動しているのが特徴だった。
なるほど、こういうデートもあったのか!
と俺は納得した。無職なのに。
そして、あつ~となって汗だくとなったら部屋を出て
今度は氷が張っているような冷たい部屋に行って
体を冷ますらしい。
これを繰り返すことによって
体の中の悪いものを出し切るのだそうだ。
確かに汗が出ていくのを久しぶりに感じた。
無職はその日、どこかに散歩に出かけようとするくらい
体が凝り固まっていてしょうがなかったので
これはいい機会だと思った。
結果として後輩3人とともに岩盤浴に入れたのだった。
いい無職…いやいい日だった。