恋愛弱者というのは存在する。
鬱屈した精神で生きている中で
毒のように染み出してきた感情を自分で制御できず
自壊していく者たちである。
戦わないまま敗北する者たちである。
彼らをBSSという。
自分たちだけの秘密を持ち、通じ合う空気を感じていたものの
信頼していた人程度で終わるBSS。
ずっと幼馴染として想いを寄せていたものの
大学生になったあとはぽっと出の運命の人に敗北したBSS。
初めて会話してくれた相手として想いを寄せて
想いを寄せるだけで何もしなかった、BSS。
これらはみな恋愛弱者である。
先に好きだったことは戦いの舞台にすら上がっていない傍観者と何も変わらない。
外堀を埋めることは全くといっていいほど意味をなさない。
であれば、BSSたちには何が残るだろうか。
傷ついた彼らはさらなる癒しを求めて
暗黙的なアピールを繰り返すが
それらはだれにも伝わらず宙に消えていくのだった。
そんなBSSがまた一人。
